賃貸借契約は、家主または家主が契約している管理会社と借主とが賃貸借契約書を取り交わしますが、賃貸借を解約する場合は、解約予告や契約の解除の項で、解約手続きの方法や解約申し出の期間、そして解約金等が必要かどうかなどが記載されています。

従って、解約に関してはその内容に従って進めることになりますが、その解約についての内容を個別に説明していきます。

賃貸借契約の解約通知書についての注意点

賃貸借契約の手順

賃貸借契約を解約する場合はまず解約したい旨を貸主に電話で連絡します。解約通知書の書式は貸主が独自の書式を持っているのが普通で、依頼すればその書式が送られてきます。その時、解約通知書は郵送するのかFAXでいいのかを確認しておきましょう。

解約通知書の内容

解約通知書の内容は、解約申し込み日、解約する物件名、部屋番号、氏名、電話番号などを記入します。さらに、退去日と退去時立会希望日を記載する欄があるはずです。というのも、借主には退去時、原状回復義務というのがあり、原状回復義務に該当するかどうかの判定が必要になってきます。

明らかに借主の過失で破損したり傷がついたりした箇所があった場合は、借主の費用で補修することになります。両者立会いの下で傷や損傷の責任所在を確認するために、立会日を決める必要があります。

忘れてはならない大切なこと

また、費用のやり取りや、今後何か問題が発生した場合のために、転居先を報告しておかねばなりません。そしてもう1件大事なことは、銀行の口座番号を記載する欄があります。
というのも敷金は基本的に全額返済されるのですが、借り手側の過失で原状回復費用が発生したら、敷金から相殺される場合があり、その手続きを済ませた後、返金する金額が残ったときは、借り手の口座へ振り込まれます。必要事項をすべて記載してこの書式を管理会社か大家さんに返送すれば、手続きは完了です。

賃貸契約解除に関わる解約金の有無

解約金に関して

賃貸借契約を解除する場合、解約金が発生する可能性があります。解約金が発生するかどうかは賃貸借契約書に書かれています。通常は決められた期間内に申し出をすれば、特段の解約費用が発生することはありません。しかし、次の2例の場合は、違約金が発生する可能性があります。

短期解約違約金

一つは、短期解約違約金です。これは例えば、2年契約で入居したのに、1年未満で退去する場合などが適用されます。貸主側にとっては、2年契約で貸したのに、短期間で解約された場合、改めて入居者を募集することになります。
すると募集費用も掛かるでしょうし、すぐに募集が決まらずに空室になることもあるでしょう。

そうなると、本来は入ってくる家賃が入らなくなるわけですから、不稼働損失という状態になる可能性があります。従ってそういう費用や家賃の無入金に備えて、例えば1年以内の解約は、1か月の家賃を払ってもらいますという契約になったりします。

もしくは、1年以内と期限を限定することなく、契約満了前の解約には、家賃1か月をもらい受けますという契約になっていることもあります。いずれの場合も入居時に交わした契約書に記載があれば契約に従って精算される、ということになります。

賃貸借契約を解約した場合の日割り計算方法採用の有無

賃貸借契約を解約

賃貸借契約を解約する場合は、基本的には解約の1か月前に申し出るようにと契約書に書かれています。その場合は、1か月以上前でも1か月となります。

具体例

例えば、7月31日に解約したい場合、6月20日に申し出ても、6月30日までに申し出たということと同じとみなされ、約定通りに1か月前として扱われます。
しかし、契約書に日割りで精算すると記載がある場合は、この限りではありません。日割りとは、1日を単位とした計算方法です。

通常は、1か月を単位として計算するのが一般的ですが、最近の契約は、法律的に借主側を保護するような内容が目立ってきていて、精算の計算式も1日単位として契約書に書かれている場合があります。その場合は、上記の例でいうと、6月20日に解約申し込みをすると、7月20日解約になります。

すると、6月中に7月分の家賃を払いますから、7月分の家賃を31日で割って、7月21日から31日までの11日分が借り手に返金されます。この仕組みを日割り計算と言います。

日割り計算に関して

日割り計算は最近増える傾向にありますが、これは国土交通省が出している「賃貸住宅標準契約書」というガイドラインで、日割り計算を推奨しているからです。

標準契約書はあくまでガイドラインですから、必ず守る必要はありませんが、借主側が日割り計算を取り入れ始める傾向にあるということです。
ちなみに、標準契約書の中では、1か月を30日にすると明記されていますが、歴日を取り入れている契約書もあり、これはそれぞれの契約者の判断に任されています。

賃貸借契約の解約を電話連絡することは可能か?

賃貸借契約を電話で解約することは可能です。
国土交通省が出している、賃貸住宅標準契約書を見ても、解約の項に書面で解約しなければならないという記載はありません。しかし、入居時に取り交わす賃貸借契約書には、解約通知書は書面で通知すると記載されている契約書がほとんどです。

このことは、解約書に記載された内容がとても重要で、言い間違いや聞き間違いをしないためには書面で通知するほうが望ましいという面があります。解約通知書に書かれていることのうち、住所や電話番号、氏名などはもちろん間違ってはいけませんが、受け取り側は類推して補完することは可能な項目です。

しかし、解約日は間違うわけにはいきません。解約日が手続きの基準になりますから、お互いにきちんと理解することが大切です。また、退去日や退去時立会日なども、引っ越しで多忙な借主側にとって、日付を間違えるわけにはいきません。
さらに、借主側の引っ越し先住所や、敷金等返却のための銀行口座などは、口頭で済ますには重要で情報量として多いので、口頭で済まさないほうがいい内容です。

借主、貸主側双方にとって大切な情報ですから、間違いを避けるためには、電話や口頭ではなく、書面できちんと確認することが大切と言えます。

賃貸借契約の解約は2ヶ月前に設定は妥当かどうか

賃貸借契約を解約する場合、借主側はある一定の猶予期間をもって知らせることになります。猶予期間を取っているのには理由があります。借主にとって、契約が解除された場合、次の入居者を募集する必要があります。すぐに決まればいいのですが、決まるのに時間がかかることも考えられます。

ですので、できるだけ早く募集をかけたいというのが貸主側の事情になります。もし入居者決定が1か月遅くなればその月の家賃が入ってこなくなります。それでは困るので、貸主側はできるだけ早い時点で契約の解約を知りたいということになります。ではどのくらいが適当かということになりますが、借主側にとっては、引っ越しがいつ頃決まるかということです。

典型的な例としては、サラリーマンの転勤があります。通常転勤の辞令が出るのは、1か月前ぐらいでしょう。辞令はそんなに早く出るものではありませんが、会社側も引っ越しを考慮すると、1か月前には出すようにするでしょう。

では2ヶ月前に解約通知書を出すという契約を結ぶのはどうでしょう。前述の転勤辞令などと考え合わせると、2ヶ月前に通知するよう契約するのは、社会通念上難しいことになります。従って、借主側の事情と貸主側の募集準備を考え合わせると、解約通知は1か月前というのが適当ということになります。

なお借主が企業で、事務所契約の場合は個人契約と違って、6か月前とか、かなり長い期間で契約します。これは借り手側が企業の場合は、早い時期の事務所移転を決める事情があり、貸主側も事務所募集には長い期間がかかるという事情があります。このように、解約期間は双方の事情で決められます。

賃貸借契約の解約時のトラブルと対策

賃貸借契約の解約時にトラブルが起りやすいのはお金の精算です。まず契約時に支払われた家賃以外のお金の性質がきちんと理解されているかということがあります。家賃以外で支払われるお金は敷金、礼金です。

敷金は解約時基本的に全額返金されるものですが、敷金にも敷引きと言って返還されない種類の敷金があります。敷引きは紛らわしいので、契約締結時の重要事項説明の時に借主に分かるように説明しておく必要があります。礼金は、地方によってはまだ残っている風習で、当然返還されません。

戦後すぐの住宅難の時代に、貸して頂くお礼として借主が支払った風習でしたが、地方によってはまだ残っています。契約時点で敷金と敷引きの組合せや、敷金と礼金の組合せなどがありますが、借主には区別しにくいところですから、契約時にきちんとした説明が必要です。

次に考えられるのが、現状回復費用かどうかの判定です。消耗品や経年劣化は貸主の費用になり、借主に請求されることはありません。それ以外で、明らかに借主が破損したものについては、原状回復費用として借主が負担することになります。トラブルになりやすいのは原状回復費用に含まれるアイテムか否かの判断です。

この判断基準が、国土交通省が発行した「原状回復のガイドライン」という冊子があり、その中に「費用負担区分表」と「修繕項目基準一覧」というリストがあります。この2種類のリストで、原状回復に入るアイテムかどうかと、その基準費用が示されています。

これらのリストを示しながら費用分担と金額を決めるようになってきたので、ガイドラインに沿って決めることで、トラブルが出ないよう敷金と現状回復費用の処理を進めることが大切です。