不動産物件の賃貸契約においては、通常の民法ルールに加えて借地借家法と呼ばれる特別な法律も関係してきます。契約期間の長さや内容などによって、様々な決まりが生じていますから、この点については要チェックです。

この記事では、これから賃貸を検討している方向けに、契約期間の色々なパターンとルールについて説明していきます。

一般的な契約で定められる期間とは

賃貸物件の一般契約の期間は2年とされています。実際にアパートやマンションを借りる際には、この期間を設定しているケースが多いはずですが、これは特に法律的に決まっているわけではありません。色々な説があるものの、日本の古来からの慣習によって、2年という契約期間を設定している場合が多いとされています。

毎年更新では手続きが面倒ですし、3年や4年に一度では更新料による大家さんの収入が減ってしまうはずです。これらのバランスを考えると、現在でも2年に一度の更新が、現実的に利便性が高いと捉えられていると考えられます。

建物を目的とする賃貸借契約の場合には、基礎となる民法の他に、不動産賃貸借に関する特別法である借地借家法も適用となるので、少し特別なルールに気をつけることが大切です。借地借家法と言うのは特別法なので、民法のルールに対して優先して適用されます。

契約期間や更新の仕方などで借り主を保護するような働きが強くなるので、契約の際にはチェックしておくと良いでしょう。また、この法律は契約期間の長さによっても、ルールが変わってくる点に注意が欠かせません。

契約期間の更新あれこれ

一般的には2年で一旦は賃貸契約が終了となり、それまでのタイミングで更新するか否かを考えることになります。ただし、基本的には通告しないでも勝手に更新されるケースが基本です。
また、大家さんの方から一方的に契約終了を決めることは出来ません。契約期間の更新に関しては、このように色々な取り決めがあるので契約前に確かめておきましょう。

借地借家法によると、更新に関しては借り主の方を保護するような仕組みが多くなっています。まず、借り主は契約更新の連絡を忘れても、これが原因でいきなり追い出される心配はありません。借り主からの契約更新の連絡がない場合には、大家さんは更新しない旨を伝えれば解約も出来ますが、ここでは「正当な理由」が必要となっています。

この「正当な理由」が存在しない限り、借り主が更新を忘れていても、大家さんが独断で契約を終了させることは出来ないわけです。つまり、事実として大家さん側に余程の言い分が無いと、一方的に契約を更新したり、解約することは不可能と考えられています。

他方、借り主にとっては更新したければ、その旨を伝えれば契約が延長されるのがルールです。この場面でも大家さんの方に「正当な理由」があれば、更新を拒否できますが、これは借り主に非があるような状況でないと認められません。
「正当な理由」は大家業を続けるのに疲れた、などの口実では足りず、借り主に賃料不払いなどが生じているような事実が必要です。

結論としては、借り主は正当に賃貸物件を扱い、賃料もしっかりと支払っているような場合では、大家側は契約の更新を拒否することは、法律的には困難となります。

契約期間内に解除・撤去できる?

賃貸契約は一般的に2年の期間がありますから、この間に解約したいケースも出てくると考えられます。このような場合でも法律的には、大家さんからの解除は難しく、借り主からの解除は容易となっているのが特徴です。

まず、大家さんからの賃貸契約の途中解除は極めて困難となっています。ここでも大家さんには「正当理由」が要求されるので、余程の原因がなければ解除は不可能です。他の選択肢としては当事者同士の合意解除がありますが、借り主はこれに必ずしも応じる必要はありません。

逆に借り主からの解約は比較的簡単で、特約にもよりますが1ヶ月前に通告して退去するか、そうでなければ1ヶ月分の賃料を支払って契約解除を可能とするケースが多くなっています。このあたりは契約時に、どのような取り決めになっているかについて、しっかりと押さえておくことが大切です。

契約期間内の撤去に関して違約金があるかどうかは、これは契約で自由に決められるので、約款を確認することが必要です。違約金を取らない場合も多いですが、例えば契約開始から一定の期間だけ支払いが生じるような特約を結んでいる場合もあります。特に建物のクラスの割に賃料がリーズナブルな、好条件な物件で違約金の設定が多いとされているようです。

契約期間なしのパターン

契約期間なしのパターンは「期限を定めない契約」として、借地借家法の特別なルールを適用するとしています。この場合では法律的に、当事者であればどちらからでも、いつでも解約を申し入れることが可能です。
ただし、大家さんの側には解除に際して「正当な理由」が要求されるので、この場合でも借り主を優先的に保護する仕組みは健在となります。

いつでも解約を申し入れることが可能、と言う点でかなり自由度が高く見えますが、実際に契約解除となるのは法定の期間を過ぎてからとなります。つまり、何時でも解約は申し入れられますが、その時点からしばらくは契約が継続するように定められています。
これは解約を申し入れたからと言って、その場で契約が終了となれば、借り主が路頭に迷ったり大家さんの生活の糧が寸断されるリスクが考えられるからです。

具体的に申し入れからどの程度、賃貸契約が継続するかについては、こちらも法律で規定が設けられています。大家さんからの場合は、申し入れから6ヶ月の経過に加え、「正当な理由」があれば賃貸借契約が終了するのが決まりです。
借り主の場合では民法ルールが適用され、3ヶ月の経過で終了します。この申し入れは一方的に意思表示をすればいいので、借り主が解約したい旨を相手に伝えれば良く、合意は必要ありません。

契約期間が半年パターンはどうなる?

近年は短めの契約期間で賃貸を行うパターンも増えてきましたから、半年契約を行いたい方もおられるでしょう。この場合には当事者同士では期間を定めているものの、法律的には「期間の定めがない」賃貸契約として扱われてしまうので、気をつけることが大切です。

借地借家法では1年未満の契約期間を設定した場合には、一律で「期間の定めがない」契約とみなすようになっています。契約期間が半年ではもちろん、この特別ルールが適用されるわけです。流行しているマンスリーマンションなども、こちらの対象となると考えて構いません。
逆にちょうど一年と言う場合には、一般的な2年契約と同様の規定が適用されることになります。

契約期間が半年の場合には、「期間の定めがない」として扱われる結果、上記のようにいつでも、どちらからでも解約を申し込めるパターンが適用となるわけです。ただし、半年契約を謳っているわけですから、必ずしも借り主の申し入れから3ヶ月で終了するとは限りません。
特約によって申し入れから契約解除までを変更しているケースが考えられます。よって、この点についても契約の際に慎重に確かめることが肝心です。

契約期間がきっちり1年のパターン

契約期間がきっちり1年の場合には、一般的によくある2年の契約期間を定めたケースと、同様のルールが適用されることになります。逆に一年未満でしたら半年契約の事例と同様に「期間の定めがない」として扱われてしまうので要注意。賃貸契約を考えるには1年以上か未満かで、大きく結果がことなることになりますから、この辺りは慎重に検討するのがおすすめです。

契約期間が1年の場合には、「期間の定めがある」賃貸契約とみなされる結果、大家さんからの解除は、契約終了の1年から6ヶ月前までに通知し、かつ、「正当な理由」が要求されるなど借り主にとって有利な保護が適用されます。借り主からは1ヶ月分の賃料を支払うことで解除できるなどの仕組みも適用されるはずです。

このように2年が一般的な契約期間として知られているので、1年契約となると短期間で簡易に感じられるかも知れませんが、法律的にはしっかりと保護されていると言えます。

更新料の支払いが年に一度となるのはデメリットですが、途中での解約になって違約金を支払いたくない場合などでは、1年区切りの契約を考えておくのもありでしょう。逆に長く住みたい場合には、5年などの長期間の契約もあるので、こちらも選択肢となります。