賃貸を退去するときには、実は様々なトラブルが起こりがちなのです。住んでいた側からすれば、初期費用はもちろんのこと、毎月の家賃も支払っているので、できるだけ退去時にはお金を払いたくないですよね。

ではどうすればトラブルにならないように退去できるのでしょうか?まずはどんなことがトラブルとして考えられるのか、そしてその解決策などについても紹介していきます。

賃貸を退去するときはどうすれば良いの?

家族が増えたから広い場所に引っ越したい、転勤になるから退去したいなど、住んでる賃貸から引っ越しを考える人もいますよね。そんなときにやらなければならないのが退去の手続きです。

大家さんや管理会社も「明日引っ越します」といきなり言われても困ってしまうのです。そのため退去を考えている時は、契約書に定められた猶予期間を設けて申し出る必要があります。
内容は大家さんによって異なりますが、大体1ヶ月や2ヶ月前には退去の申し出をするようにと定めていることが多い傾向にあります。その間に新たな入居者の募集をかける準備をしたり、手続きをしたりしなければなりません。

退去すると決めたら、まずはきちんと申し出を行いましょう。そして引っ越しの準備をしたり、新たな住居を確保したりしながら、部屋の掃除を行います。退去時にはクリーニング代や、破損部分の修理のためにいくらか支払わなければならないことがあります。

できるだけ退去費用をおさえるためにも、部屋の明け渡しをする前に部屋を綺麗にしておきましょう。そうすれば余計な支出がおさえられますし、お互いに円満に契約を解消できます。

退去にも費用がかかる

賃貸を退去するときには、退去費用というものがかかります。これは住んでいた人によって部屋が汚れていたり、破損した部分を修繕して、次の入居者が気持ちよく入居できるようにするために必要なお金です。
賃貸にもよりますが、入居前の初期費用として「敷金」というものがあります。家賃の1ヶ月分や2ヶ月分を支払うのが一般的なのですが、この敷金を使って退去費用を算出します。

ハウスクリーニング代はいきなり入居者に請求されるものではありません。入居前に支払った敷金の中からまかない、余れば清算金として返金されますし、もしも足りなければ追加で請求されるようになります。そのため少しでも多く返金をしてほしいと思うのであれば、できるだけハウスクリーニング代をおさえられるような工夫と交渉が必要不可欠です。

では具体的にどんなお金がかかるのかということですが、代表的なもので言えば壁紙やクロスです。その他にもトイレやお風呂といった水回りのクリーニング、床の傷など様々です。入居前からの汚れなのか、それとも入居したことで新たにできた汚れなのかをはっきりさせるため、入居時には汚れている場所を申し出たり、カメラなどで傷や汚れの証拠を残したりします。

退去費用で裁判に!?どんな判例が出たのか

退去時の原状回復で裁判になったケースはいくつかあります。その判例をいくつか紹介していきます。
まず通常使用によっての汚れや損耗は、原状回復義務の対象にならないというものです。賃貸人は畳の張替えや襖の張替え、じゅうたんの取り換えなどで敷金以上の費用を支払ったと主張しましたが、これらは通常の生活による汚れや損耗であって、故意のものや異常な使い方によるものではないというのが認められました。そのため敷金は全額返還されたという判例があります。

その他にも居住年数による経年劣化や、日常生活の中でやむを得ずできる日焼けなどに対しても原状回復費用を請求されたというケースは多々あり、それに対して裁判を起こすと、費用を返還された判例がいくつもあります。

賃貸借契約においては、法律の知識などの観点からしても入居者が圧倒的に不利になってしまいます。しかし裁判での過去の判例が味方してくれることも珍しくはありません。過去の内容から見て「退去費用の支払い義務はない」と判断されれば、全額返還されることもあります。
言われるがままに請求額を支払うのではなく、納得がいかなければしっかり交渉するというのも大切です。

壁紙について気を付けたいこと

賃貸を退去する際のトラブルには様々なものがありますが、原状回復に関して多いのは壁紙やクロスに関することです。
ちょっとした不注意で壁紙が汚れてしまった、またクロスがはがれてしまったというようなことは、生活をしていれば一度や二度は起こり得るでしょう。
しかし不注意で壁紙を汚してしまったのは賃借人の落ち度です。部屋を借りている以上、できるだけ借りた時のようにきれいな状態で返すのが基本です。

壁紙や経年劣化の影響や、ちょっとした汚れが目立ちやすい傾向にあります。そのため日常生活の中では、できるだけ壁紙を汚さない、また傷つけないように気を付けることが大切です。その他にも壁紙が汚れる原因として、壁に穴をあける行為やタバコがありますが、これは契約の段階で禁止されていることもあるでしょう。
それにも関わらず画鋲をさして穴をあけてしまったり、室内でタバコを吸ってヤニ汚れをつけてしまったとあっては、退去時に張替え代の請求をされても仕方がありません。

禁止されていることは絶対に行わないこと、また日常的に壁紙やクロスを汚さないように気を付けることが大切です。こうしたことを守っていれば、不当な原状回復費用を請求されることもないでしょう。

実はトラブルが多い退去時!どんなことがトラブルになりやすい?

退去時にトラブルは多く、不動産会社などを介して話し合いで解決できれば良いのですが、中にはうまく解決できず裁判になってしまうケースもあります。では実際にどんなトラブルが起こりやすいのでしょうか?

最も多いトラブルは、前述したように退去費用に関するものです。汚れの程度や破損の程度によって費用は変わってくるのですが、中には法外な高額請求を強いる賃貸人もいます。契約書にサインをしている以上仕方がない、法律関係は分からないから言われるがままに支払ってしまったなど、この退去費用に関して泣き寝入りをしてしまう人も少なくはないです。

その他にも退去の申し出をしたにもかかわらず、空室を作るのが嫌だからと言って手続きをスムーズに行ってくれなかったりした事例もあります。

もしもトラブルに巻き込まれた場合には、大家さんや管理会社だけではなく、仲介となっている不動産屋にも相談をしてみましょう。それでも解決しないようであれば、弁護士などが在籍している相談窓口を利用してみるのも良いでしょう。
「仕方がない」と泣き寝入りをするのではなく、納得がいくまで話合いをすることが大切です。そして少しでも変だなと感じたときには、安易に承諾書などの書類にサインはしないようにしましょう。

トラブルはガイドラインにそって解決が可能

賃貸の退去に関するトラブルは後を絶ちません。賃借人からの相談も多いのですが、実は賃貸人である大家さんからの相談も多いのです。退去費用が妥当かどうかは人それぞれの見方で異なりますし、お互いが納得しないと話も解決しません。そこで国土交通省がトラブルを回避させるためにガイドラインを作りました。汚れや破損状況だけで判断するのではなく、経年劣化も加味して負担額を正当化させる内容です。

つまり長い年数住んでいることによって起こった汚れや破損に関してまで原状回復費用を全額請求するのはおかしいと示したのです。しかしこれには法的拘束力はなく、あくまで1つのルールでしかなかったのです。しかし2017年に民法改正が行われ、原則として敷金は全額返還されることが義務付けられるようになりました。

今まではガイドラインがありながらも、交渉がうまくいかなかったケースはいくつかありました。しかし民法改正が賃借人にとって強い味方となってくれたおかげで、不当な請求があっても返還交渉がしやすくなったのです。

「入居時よりも汚れてしまったのだから仕方がない」と諦める必要はありません。賃借人には納得ができない退去費用に対して「NO」という権利が与えられています。これを知らないと後々困るのは自分なので、賃貸人の請求だからと言ってもそれを鵜呑みにしないように気を付けましょう。