契約書には、本契約書のほかに仮契約書が存在しますが、どのように用いられるのでしょうか。建物使用貸借契約などで使われている仮契約書とはいったいどんな書類なのか、仮契約書にはどのような条項を記載する必要があるのか、仮契約書にも更新は必要かなど、契約にまつわる気になる点を深堀りし、詳しく紹介していきます。

建物使用貸借契約書とは?仮契約書との関係は?

建物使用貸借契約書とは、貸主と借主の双方で締結される契約書の一つで、不動産などで用いられます。契約を結ぶ際、実務上「仮契約書」を取り交わすことがあり、銀行からの融資条件として契約書の提出が必要な場合に用いられるケースを見かけます。

仮契約書とは

仮契約書とは、後ほど正式な契約を取り交わすことを前提に作成される文書の一つです。仮契約書には、「売買物件」「売買代金」「所有権の移転」など本契約書に記載されている条項がそのまま使われていますが、「仮」の場合は、法的拘束力がないことを条項の一つに付け加えます。法的効果が発生する条項が含まれる場合は、「仮」と書かれていても契約書として成立するため、法的拘束力を発生しない形に修正してもらうことが大切です。

仮契約書に書く住所はどんな形式?

建設工事や、土地売買などで用いられる仮契約書には、物件に関するいくつかの条項が取り交わされています。契約書は二者間で交わされることが多く、「甲」「乙」の呼び方で記載されるのが一般的です。土地や建物などを取扱う場合は、住所欄に所在地を示すための情報や面積、地目などを表にし、双方の意思疎通を図ります。

仮契約書を締結していることを証明するため、甲乙それぞれが記名押印を行いますが、名前だけでなく、住所や役職などを載せることが多いです。県や地方公共団体などが入札条件を提示する「特定事業仮契約書」では、全ての落札者の住所や氏名などを書いていきますが、工事に関係する設計企業や建設企業などが連名で契約書に記載します。

仮契約書にはどのような雛形が存在する?

条項不備や契約の無効を避けるため、仮契約書には雛形が存在し、インターネットを通じて自由に利用することができます。決められた条項に従って雛形が作られており、乙の名前や住所、契約代金などを伏字にした状態で登録されていることが多いです。

岡山県のWebサイトでは、「県有財産売買仮契約書」が公開されており、書類上歯抜けになった部分を埋めることで契約書類が完成するように工夫されています。

司法書士事務所や弁護士事務所のサイトでのテンプレート

司法書士事務所や弁護士事務所のWebサイトでも、仮契約書のサンプルやテンプレートが登録されており、無料でダウンロードすることが可能です。雛形を有効活用することで、書類の不備や契約書類の作り直しを避けることができ、書類作成にかかる時間短縮にもつながります。

仮契約書が必要とする保管期間

仮契約書は、本契約が締結されるまでの期間中に効力を発揮します。保管期間は、一般的な契約書で定められている内容に準じ、税務上の関係書類では7年間、会社法における会計関係書類では10年間の保存が必要です。本契約書を取り交わすことで、仮契約書は役目を終えることになりますが、甲と乙のやり取りを履歴に残しておくため、本契約書とともに仮契約書を残しておくのが無難な対応です。

契約書そのものをめぐる紛争リスク

契約書そのものをめぐる紛争リスクが存在するため、甲乙間で紛争が発生する可能性が低くなる消滅時効期間の5~10年を目安にします。甲と乙のどちらかが不法行為を引き起こした場合に、必要とする除斥期間として20年間であるため覚えておくと便利です。

仮契約書を更新する際、気を付けるポイント

本契約書と同様に、仮契約書においても契約を更新することができます。契約を更新する際には、甲と乙のそれぞれが連携し、更新の連絡時期や必要書類、所定の費用などを事前に確認しておくことでスムーズに進めることが可能です。

不動産業界においては、契約が満了する3か月前から1ヵ月前までの期間中に、甲から乙に対して「契約更新に関するお尋ね」などの書面が届くことが多いため、忘れずに対応することが大切です。契約を更新する際には、契約条件によって更新料が発生することがあります。

あらかじめ、契約条項を確認しておきます。金額は契約内容によって異なりますが、一般的には契約期間中にかかる賃料の1か月分であることが多いため覚えておきましょう。

仮契約書に貼る印紙の種類、貼らなくてもよいケースとは

不動産売買などで作成される書類が仮契約書である場合でも、文書そのものが課税事項を証明するために必要な書類であれば、課税文書としての役割を担います。

印紙税による課税

印紙税による課税は、印紙税法で定められている課税文書に基づいて行われるため、課税事項を有する仮契約書には印紙が必要です。金銭などの授受を証明するために作成した文書であれば、後に本契約書が締結されるかどうかに関係なく、印紙税が課税されるため注意しておきます。

印紙税とは

印紙税とは、金銭を受領した事実に対してではなく、領収証そのものの文書に対して適用されます。一つの契約に対して仮契約書と本契約書の二つを作成する場合でも、両方の契約書に対して印紙税が課税されます。文書形態が契約書の体裁を取っている場合は、印紙税の対象となるため覚えておきましょう。一方、課税事項を証明した内容でなければ、印紙を貼る必要はありません。